宮崎県地域日本語教育体制整備事業について
宮崎県は、文化庁の「地域日本語教育の総合的な体制づくり推進事業」の採択を受け、(公財)宮崎県国際交流協会が本事業を受託し、実施しています。
宮崎県でも年々増加している外国人住民は、日本人と同じく、宮崎県民として地域で生活を営み、社会を支える存在です。「国籍に関係なく、一人一人が宮崎の暮らしやすさと安心感を実感でき、多様な文化や言語等を理解し、尊重し合える社会」が実現できるよう、本事業において地域日本語教育の充実を図っていきます。
令和5年度の取組みは以下のとおりです。
1.日本語教育体制の構築
①総括コーディネーターの配置
事業事務局である(公財)宮崎県国際交流協会に総括コーディネーターを配置し、地域日本語教育コーディネーターと連携をとりながら事業全体の調整を実施した。
②地域日本語教育コーディネーターの配置
宮崎県を4つの地域に分け(県北・県央・県西・県南)、それぞれを担当する地域日本語教育コーディネーターを配置(県央を除く)し、各市町村と連携しながら各地域の実情や外国人住民の日本語学習ニーズ等を把握し、様々な関係者を繋ぎながら地域に応じた日本語教育プログラムの企画や調整を実施した。
③会議・意見交換会の開催
県内の関係者と情報共有や日本語教育を推進するための会議を実施した。
総合調整会議
開催日 | 出席者数 | 内容 |
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5月24日(水) | 36名 | ①日本語教育に係る県の取組及び今後の方向性について ②今年度の事業実施計画について ③本事業におけるコーディネーターについて ④市町村からの報告 ⑤意見交換 |
3月13日(水) | 33名 | ①今年度の事業実施状況について ②令和元年度からの地域日本語教育体制整備事業の総括について ③次年度の事業計画概要について ④意見交換 |
地域別意見交換会
開催日 | 出席者数 | 内容 |
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県北:6月14日(水) 県央:6月16日(金) 県南:7月5日(水) 県西:6月22日(木) | 県北:11名 県央:11名 県南:7名 県西:14名 | ①日本語教育人材(学 習支援者)の育成等 について ②日本語教育に関す る意見交換(当事業 への要望等) |
県北:1月17日(水) 県央:1月16日(火) 県南:1月25日(木) 県西:1月10日(水) | 県北:11名 県央:13名 県南:7名 県西:11名 | ①県(県国際交流協 会)における各地 域での取組につい て ②各団体における取 組について |
④外国人材受け入れセミナーの実施
外国人雇用企業における日本語教育のニーズを把握するとともに、外国人材の受け入れに関する国の制度等の周知を図ることを目的に実施した。
開催日 | 出席者数 | 内容 |
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9月28日(木) | 10名 | ①宮崎県における地域日本語教育の取組について ②外国人材の受け入れに関する国の制度等について |
⑤ひなたにほんご交流会
県内で活動する日本語教育関係者が日頃の課題等を共有するとともに、関係者同士の顔が見える関係づくりを推進することを目的に実施した。
開催日 | 出席者数 | 場所 |
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8月23日(水) | 40名 | アリストンホテル(宮崎市) |
3月16日(土) | 25名 | ATOMica宮崎(宮崎市) |
⑥日本語教育・多文化共生入門セミナー
地域における日本語教育について機運醸成のために、市町村職員や一般県民を対象としたセミナーを開催した。
対象 | 開催日 | テーマ | 受講者数 | 講師 |
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一般県民(日本語教師) | 11月4日(土) | 多言語化する学習者への指導方法など | 6名 | 宮下 しのぶ氏((公社)国際日本語普及協会) |
門川町 | 10月25日(水) | やさしい日本語研修 | 25名 | 長尾 晴香氏((株)link design lab 代表取締役) |
都城市 | 11月16日(木) | やさしい日本語 :発信と受信 | 23名 | ベティーナ・ギルデンハルト氏(同志社大学 グローバル・コミュニケーション学部 准教授) |
小林市 | 11月17日(金) | 対話の中のやさしい日本語 | 28名 | ベティーナ・ギルデンハルト氏(同志社大学 グローバル・コミュニケーション学部 准教授) |
新富町 | 12月20日(水) | やさしい日本語研修 | 42名 | 長尾 晴香氏((株)link design lab 代表取締役) |
宮崎市 | 12月21日(木) | やさしい日本語研修 | 33名 | 長尾 晴香氏((株)link design lab 代表取締役) |
⑦有識者意見交換会
有識者で構成する意見交換会を開催し、県としての方向性等を踏まえ、今後の地域日本語教育体制の整備・充実に向けた提言について協議を実施した。
開催日 | 出席者数 | 場所 |
---|---|---|
8月30日(水) | 10名 | オンライン |
2.日本語教育の実施
①日本語講座の開催
宮崎県内に住む外国人が、地域で生活していくためのコミュニケーションとして基本的な日本語を習得することを目的に「日本語講座」を開催する。
※日本語教師が教科書を使用し、複数の学習者に教えるスクール形式。
※対面とオンラインで実施。
使用教科書「いっぽ にほんご さんぽ」(初級1~3)「まるごと 日本のことばと文化 初中級 A2/B1」(初中級)
【対面講座:宮崎市内】
初級1 | 初級2 | 初級3 | 初中級 | |
---|---|---|---|---|
時期 | 前期:5月9日(火)~9月5日(火) 後期:10月3日(火)~1月30日(火) | 前期:5月9日(火)~8月29日(火) 後期:10月3日(火)~1月30日(火) | 前期:5月9日(火)~8月31日(木) | 後期:11月9日(木)~3月12日(火) |
場所 | カリーノ宮崎 会議室 | カリーノ宮崎 会議室 | ATOMica宮崎 会議室 | ATOMica宮崎 会議室 |
受講者 | 前期:7名(延べ138名) 後期:6名(延べ103名) | 前期:5名(延べ81名) 後期:4名(延べ80名) | 前期:4名(延べ57名) | 後期:2名(延べ52名) |
【対面講座:宮崎大学】
初級 | 初中級 | |
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時期 | 5月30日(火)~2月15日(木) | 5月31日(水)~2月21日(水) |
受講者 | 15名(延べ279名) | 6名(延べ78名) |
【オンライン講座:ZOOM】
初級1 | 初級2 | 初級3 | 初中級 | |
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時期 | 前期:5月10日(水)~9月6日(水) 後期:10月4日(水)~2月2日(金) | 前期:5月9日(火)~8月31日(木) 後期:10月3日(火)~2月13日(火) | 前期:5月10日(水)~9月6日(水) 後期:10月4日(水)~2月9日(金) | 前期:5月9日(火)~9月26日(火) 後期:10月24日(火)~3月5日(火) |
受講者 | 前期:5名(延べ66名) 後期:3名(延べ36名) | 前期:4名(延べ91名) 後期:2名(延べ47名) | 前期:2名(延べ31名) 後期:2名(延べ30名) | 前期:7名(延べ111名) 後期:5名(延べ69名) |
②地域日本語教室の開催
外国人住民が地域で生活をする上で必要な日本語を学習する場だけでなく、住民同士が交流を通してお互いの文化を理解し、地域の暮らしで必要な情報を交換する場、外国人住民の地域参画のきっかけとなり、一緒によりよい地域づくりを目指す場として地域日本語教室を開催する。
※県内を3地域(県央・県南・県西)で実施。
にほんごサロン「きらり」in新富(県央地域:新富町)
開催日 | 会場 | テーマ | 参加者数 |
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4月16日(日) | 新富町総合交流センター きらり | 買い物に関する日本語について・朝市散策 | 8名(うち学習者3名) |
5月21日(日) | 新富町総合交流センター きらり | 今年度の地域日本語教室で取り組みたいテーマのアイデア出し | 9名(うち学習者1名) |
6月18日(日) | 新富町総合交流センター きらり | 防災について | 22名(うち学習者13名) |
7月23日(日) | 新富町総合交流センター きらり | 地域行事について(浴衣着付け体験) | 28名(うち学習者17名) |
10月8日(日) | 新富町立富田中学校体育館 | これまでの教室で学習した内容の復習・スポーツレクレーション | 36名(うち学習者12名) |
12月10日(日) | 新富町フットボールセンター | 公共施設の利用方法について(サッカー体験) | 8名(うち学習者2名) |
1月21日(日) | 新富町総合交流センター きらり | 日本の文化・習慣などについて | 4名(うち学習者1名) |
2月18日(日) | 新富町西体育館 | 自転車の交通ルールについて | 89名(うち学習者82名) |
にほんごカフェin日南(県南地域:日南市)
開催日 | 会場 | テーマ | 参加者数 |
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7月2日(日) | 日南市創客創人センター | ごみの分別について | 4名(うち学習者3名) |
11月19日(日) | 日南市創客創人センター | 日南市のおすすめの場所などの紹介について | 9名(うち学習者5名) |
1月21日(日) | 日南市創客創人センター | 日本の文化・風習について | 11名(うち学習者7名) |
2月25日(日) | 日南市小村寿太郎記念館 | 飫肥の町歩きによる日本語でのコミュニケーションについて | 20名(うち学習者17名) |
日ほンGO教室 みまた(県西地域:三股町)
開催日 | 会場 | テーマ | 参加者数 |
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8月6日(日) | 三股町中央公民館 | 三股町のおすすめの場所などの紹介について | 16名(うち学習者10名) |
9月10日(日) | 三股町第3地区分館 | 防災について | 15名(うち学習者6名) |
10月8日(日) | 三股町第6地区分館 | 買い物に関する日本語について | 11名(うち学習者8名) |
11月5日(日) | 三股町中央公民館 | 公共交通機関の乗り方について | 4名(うち学習者2名) |
12月10日(日) | 三股町第3地区分館 | 年末年始の過ごし方について | 11名(うち学習者5名) |
1月14日(日) | 三股町第6地区分館 | 病院の受診について | 8名(うち学習者6名) |
③日本語れんしゅう会の開催
宮崎県内に住む外国人が地域で生活していくためのコミュニケーションとしての日本語を学習することを目的に開催した。
※学習者と日本語学習支援者が、基本的にマンツーマンで学習者のニーズに沿った日本語学習を行った。
◇日 時:4月12日(水)~3月27日(水) 全90回
毎週水曜日・金曜日 10:30~11:30
◇場 所:カリーノ宮崎地下1階
◇参加者:学習者 延べ405名、日本語学習支援者 延べ422名
④日本語スピーチコンテストの開催
宮崎県で生活する外国人住民に、日本語学習の成果を確認する機会を提供するとともに、スピーチを聞くすべての方に新たな視点を与え、相互理解を図ることを目的に開催した。
今年度は、県内3会場で地域大会を実施し、各地域大会の成績上位者が県大会に出場した。
地域大会
日時 | 会場 | 出場者数 | |
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県北地域大会 | 12月17日(日) | カルチャープラザのべおか | 一般の部:1名 |
県央・県南地域大会 | 11月19日(日) | 宮崎県庁5号館 | 学生の部:2名 一般の部:2名 |
県西地域大会 | 11月12日(日) | 都城市中央公民館 | 一般の部:2名 |
県大会
日時 | 会場 | 出場者数 | |
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県大会 | 2月4日(日) | 県電ホール | 学生の部:1名 一般の部:5名 |
⑤高校生との交流事業
日本語教育を受けている外国人住民と県内高校生が日本語で交流する場を設けることで県内の日本語教育の促進を図るとともに、多文化共生地域づくりを担う人材育成を図ることを目的に宮崎学園高等学校「多文化共生科目」と連携して講座を開催した。
日 時:7月4日(火)~12月5日(火) 全12回
場 所:宮崎学園高等学校
参加者:実数9名 延べ107名
日程 | 日程 | テーマ | 講師 |
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第1回 | 7月4日(火) | 宮崎県の多文化の状況 | 髙栁 香代((公財)宮崎県国際交流協会 総括コーディネーター) |
第2回 | 7月11日(火) | レヌカの学び | 髙栁 香代((公財)宮崎県国際交流協会 総括コーディネーター) |
第3回 | 7月18日(火) | やさしい日本語について | 髙栁 香代((公財)宮崎県国際交流協会 総括コーディネーター) |
第4回 | 9月12日(火) | 小林市役所での地域日本語教室の取組みについて | 満留 由紀子氏(小林市地方創生課国際化推進コーディネーター) |
第5回 | 9月19日(火) | 入管政策と入管の仕事について | 水本 敦史氏 (出入国在留管理庁 福岡出入国在留管理局 審査管理部門統括審査官) |
第6回 | 9月26日(火) | 新聞特集記事「シンチャオみやざき」について | 川越 裕天氏(宮崎日日新聞社報道部記者) |
第7回 | 10月24日(火) | ワークショップ「読めないお知らせ」 | 髙栁 香代((公財)宮崎県国際交流協会 総括コーディネーター) |
第8回 | 10月31日(火) | 日本語講座受講生との対話 | Nicolas Yuto Matsuzaki Soto氏 |
第9回 | 11月14日(火) | 日本語教師との対話 | 坊薗 絵里子氏(宮崎国際教育サービス(株)) |
第10回 | 11月14日(火) | 外国人コミュニティキーパーソンとの対話 | Hoang Giang氏(宮崎県ベトナム人協会 会長) |
第11回 | 11月21日(火) | 宮崎市国際交流協会の取組みについて | 岡本 哲哉氏(宮崎市国際交流協会 事務局長) |
第12回 | 12月5日(火) | 開発教育、多文化共生、日本語教育の取組みについて | 田中 春佳氏、梅村 崇史氏(JICA九州) |
⑥ひなたにほんごナビの運営
宮崎県(県国際交流協会を含む)や市町村の日本語教育に関する取組を多言語で紹介するポータルサイトを運営し、外国人住民や日本人住民等への周知を図った。URL:https://hinatanihongo.mif.or.jp/
3.日本語教育人材の育成
①地域日本語教育コーディネーター研修
地域日本語教育コーディネーターに対して、他県での日本語教室の事例学習や生活Candoの活用方法などの研修を実施した。
日程 | 参加者数 | テーマ | 講師 | |
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第1回 | 1月18日(木) | 5名 | 「きりしまにほんごきょうしつ」の事例発表及び意見交換 | 本田 佐也佳氏(きりしまにほんごきょうしつ 代表) |
第2回 | 3月7日(木) | 8名 | 参照枠・生活Candoの地域日本語教育への活用 | 関崎 友愛氏(日本語サービスYOU&I 代表) |
②日本語学習支援者向け講座
地域日本語教室・日本語れんしゅう会・日本語ボランティア紹介等で活動する日本語学習支援者の養成とスキルアップを目的に下記の講座を実施した。
◇日本語学習支援者フォローアップ講座:対面、オンライン
◇日本語ボランティア実践研修: 対面 、 オンライン
日本語学習支援者フォローアップ講座
受講者数
対面:18名(延べ81名)
オンライン:9名(延べ35名)
日程 | 日程 | テーマ | 講師 |
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第1回 | 対面: 9月16日(土) オンライン:1月13日(土) | 地域日本語教室から考える多文化共生って? | 萬浪 絵理氏(NPO法人国際活動市民中心) |
第2回 | 対面: 10月1日(日) オンライン:1月17日(水) | 教室あるある!ANADO ~あなたならどうする?~を通して考えてみよう | 石井 雅美氏((公財)北九州国際交流協会) |
第3回 | 対面: 10月14日(土) オンライン:2月3日(土) | マイクロアグレッションって何?学習者との良い関係を築くために | 北川 知子氏(NPO法人とんだばやし国際交流協会 理事長) |
第4回 | 対面: 10月28日(土) オンライン:2月17日(土) | となりの教室はどうしてる?日本語教室Awesome IMARIの事例から | 章 潔氏(佐賀県伊万里市まちづくり課 多文化共生マネージャー) |
第5回 | 対面: 11月25日(土) オンライン:2月27日(火) | これからの日本語教室?みんなで考えてみよう | 深江 新太郎氏(NPO多文化共生プロジェクト 代表) |
日本語ボランティア実践研修
受講者数
対面:11名(延べ28名)
オンライン:6名(延べ16名)
日程 | 日程 | テーマ | 講師 |
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第1回 | 対面: 9月30日(土) オンライン: 11月4日(土) | 地域日本語支援の役割を考える | 松尾 恭子氏((公社)国際日本語普及協会) |
第2回 | 対面: 10月7日(土) オンライン: 11月18日(土) | コミュニケーション力をつけよう~対話で引き出す日本語支援~ | 武田 由美氏((公社)国際日本語普及協会) |
第3回 | 対面: 10月21日(土) オンライン: 12月16日(土) | 学習者の多様性を受け入れる~一人一人の個性に応じた日本語支援とは~ | 内藤 真知子氏((公社)国際日本語普及協会) |